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封書の中の便箋を取り出し、丁寧に開き、ユウジがいちべつする。
視線が便箋の上を流れていき、段々とユウジの顔色が変わっていく。
「これ……」
ユウジが息を飲み、女性を見ると、女性が三つ指をつき、頭を下げた。
「お願いいたします」
「いや、お願いいたしますじゃなくて!!」
事も無げに頭を下げる女性を見ながら、ユウジはどうしたものかと考える。
(確かに、できないわけではないんだけど……これは、この人物は……荷が重すぎる……)
「あのぅ……」──と、ユウジが疑問に思っていたことを口にする。
「この……手紙、というか、覚書? これの筆跡主とでも言えばいいかな。この人物と、貴女はいったいどういった関係……」
「私の主です。私は……私とあの子は、主を守る為に、主のお側に仕えておりました」
黙って本を読んでいる男の子の方をチラッと見ながら、女性は説明していく。
「あの日……主様が旅立たれたあの運命の日に、私もあの子も一緒に逝くつもりだったのです。ですが……主様は、私達を置いていかれました。自分と運命を共にすべきではないと。地獄に逝くのは、自分だけでいいと……」
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