合格発表

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合格発表

 あなたが留学してから二ヶ月が経った。  今日は僕の大学合格発表の日。  センター試験でいい成績を残せたことで、大学受験も思いの外スムーズに問題を解くことができた。  あなたから言われたように、始める前に深く呼吸をする。  そうすれば、不思議と緊張が解れていた。  合格発表を確認するために、僕は大学へと来ていた。  さすがに、このときばかりは緊張も解けない――。  ドキドキする胸――。  朝からパラパラと季節外れの雪がちらついていて、寒さを和らげるためにマフラーを首にグルグルと巻き、手袋をはめ、厚手のコートを身に纏っていた。  もうすぐ合格者の番号が書かれた掲示板が運ばれてくる。  たった一人で見に来ている僕は、この緊張を誰にも言えないまま、ひたすら待っていた。 ――ガラガラガラ――  大きなホワイトボードを二人の男の人が運んできて、受験生たちの前で止まる。  そこに、番号の書いた大きな紙が貼り付けられていた。  一斉に自分たちの番号を確かめに走り出す人たち。  僕は、そんなみんなから少し離れた場所で、自分の番号を探した。 ――378…380…381―― 「383……」  自分の声と、視線の先にある数字とが重なった。  あった――僕の番号があった――。 「やっ……た……」  言葉にならないほど嬉しくて、思いきりガッツポーズもできないほど、力の抜けた声が出る。 ――玲兄……、僕……、受かったよ――  一番伝えたい人はここにいないけど、制服の胸ポケットに忍ばせているキーホルダーをギュッと握り、僕は心の中であなたに伝えた。  お母さんに電話しなきゃ――そう思って、スマホを取り出すと、回れ右をして通話ボタンを押そうとした。
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