エンディング

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街の空気のように自然に存在するそれは、明らかにこの街の文化として根付いたものなのだろう。傘の空がある彼らの日常の世界に、私たちも足を踏み入れる。 思いっきり空気を吸い込むと、花の香りだけじゃない、さまざまな匂いが身体の中へと流れ込んできた。 「美味しそうな食べ物もいっぱいですよ。どれから手をつけましょうか?」 大きく深呼吸をする私の隣で、ワクワクが伝わるほどの弾んだ声が響く。 大青さんは、今年の4月より、正式にアルコヴァレーノホテル東京ベイリゾートの副総支配人から総支配人へと就任した。 ずっと心配していた大青さんが、転々とホテルを股にかける理由は、彼が単純に一つの場所に居続けると飽きてしまうからという理由からだった。
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