廃墟のごみ箱

2/9
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 何か困ったことがあったら、いつでも連絡をするようにと言い残して引き返していくSくんの叔父を見送ると、Bさんたちは早速キャンプの用意を開始し、お昼頃には一区切りをつけることができたそうで、そのまま昼食を兼ねたバーベキューをすることになった。  それから暫くの時間は、慣れない段取りに全員が四苦八苦しながらも仲間だけでの楽しい時間を満喫していたのだが、突然Sくんが何かを思い出したという風に 「あ、そうだ!」  と、友人たちの顔を見回しながら大きな声をあげてきた。  いきなりどうしたのかとキョトンとなる友人たちに、Sくんは 「この後さ、みんなで山の方に行ってみないか? ちょっと、面白そうな場所があるんだよ」  そう告げて、意味深な笑みを浮かべて見せた。 「面白そうな場所って?」  周囲は山に囲まれているため、近くに娯楽施設などは一切ないような場所だ。  このキャンプ場以外に、いったい何があるんだろう。  そう疑問に思いながらBさんが訊ねると、Sくんはよくぞ訊いてくれましたと言わんばかりにある方角を指差してきた。  全員がそちらを目で追うが、見えるのは夏の緑が広がる山の風景ばかり。 「何だよ、虫取りにでも行こうって言うのか?」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!