どれみ姉は噂に微笑む

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 よしっ、これで……。お、来てるな! メールグループへの招待が一件、と通知が届く。星矢(せいや)はそれを軽くタップした。  招待者は奈々斗(ななと)、星矢の無二の親友だ。「グループに参加しますか?」と表示されたので「はい」を押した。遂に……クラスグループへ仲間入りだ!  星矢は最近までスマホを所持していなかった。でも、親と結んだ「中学生初めての定期テストで50位以上になる」という契約を達成して、スマホを購入した。  そして今日、奈々斗からメールグループに招待されることになったのだ。  星矢はわくわく、わくわくと胸が高まっていた。中学校の入学式もこんな感じでドキドキしてたな、と思いつつ満面の笑みでグループを開く。「一年二組」のグループと、あと……?  あれ、何か別のグループからも招待されている。とりあえず「グループに参加しますか?」という表示の「はい」をタップする。  グループ名は……「噂組(うわさぐみ)」? 何じゃそりゃ、とメンバーの一覧表を確認する。一年生の生徒ばかりだ。  こ、これはヤバい所に連れ込まれたのではないか? 不安を募らせる星矢とは真逆に、メンバーから「星矢よろしくね!」と挨拶のメッセージが続々と送られてくる。  一応、星矢は「よろしく」の4文字を慣れない手付きで打ち込み、送信した。すると、次々に「噂」がスマホの画面を飛び交う。  な、成る程。噂を伝え合うグループなんだな、ここは。星矢がオドオドとする間にも様々な噂が流星の(ごと)く流れる。 「ねぇ、実は__。」 「○○くんって__。」 「そういえばこんな噂が__。」 「ナイショだよ__。」  ナイショ話ならここに書き込むなよ、と思わず声に出してツッコミながら、スマホの電源をぷつ、と切った。  くそっ、奈々斗は何でこんなグループに参加させたんだ。参加ボタンをタップしたのは自分(せいや)だけど。  と、グループに対して思う事を声に出さないようにしながら。星矢はおやつの時間になったことに気付き、自室から元気良く飛び出した。
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