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 その中でも最も重要な情報は(しん)(もん)と呼ばれるものだった。精神エネルギーを使うと、使った対象には血痕などと同じように残滓(ざんし)が付着する。それは(しん)(もん)と呼ばれ、指紋や掌紋などのように一人ひとり違う。(しん)(もん)は目には見えないが、試験紙という特殊な用紙に吸着させることで残滓(ざんし)を採取できた。つまり、個人を特定するうえで有力な手掛かりになるということだ。  警察官や能力を使える前歴者の(しん)(もん)は例外なく採取され、庁内のイントラネット上に記録されていた。前歴者や元警察官が能力を使って犯罪を起こしたとしても、採取した精神エネルギーの残滓(ざんし)をこのイントラネットのデータベースで照合すれば、容易に個人を特定できるというわけだ。  この(しん)(もん)のデータベースは後に教場での能力開発に流用された。個人情報を伏せる形で能力だけがアーカイブ化されたのだ。教場で能力開発をする警察官候補生はそれを閲覧して、自分に合った能力を見つけ、習得するようになった。 「分かりました」
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