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そう言ってしゃがみ込み、自分の右の脛に右手を当てた。E型の不便なところは、作用する対象に必ず触れなければいけないことだ。そのせいで、自分も三十秒の間、自分の足を触り続けなければならない。その代わり能力を発動してしまえば、一時間は自由に使い続けられる。
掌から足全体にエネルギーが移っていくのを感じた。あと五秒、四、三、二、一。
「準備できました」
そう言って立ち上がった。ロイが腕を組んだままこちらを見て頷いた。
「じゃあ、ジャンプしてみますね」
そう言って体育室の天井を見上げた。地下とは思えないほど高く、ゆうに五メートル以上はある。普段なら垂直跳びで六十センチ程度しか跳べない。だが、スイッチフットが発動している今なら、ゆうに三メートルは飛べるはずだ。
「いきます」
そう言って膝を曲げた。脹脛からアキレス腱にかけて強いエネルギーが滞留していることを確かに感じる。これならいける、そう確信して思い切り地面を蹴った。
次の瞬間、身体は信じられないほど高く浮いた。流石に天井にまでは届かないが、まるで鳥にでもなった気分だった。
――おお、すげえな。
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