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「はれひ」
「ん? ──はっ花風くんんっっ」
思わず死んだ顔面で振り返ってしまい、そんな自分に自分が怯えた。
ひどく不細工な顔を見せてしまった。
いや普段と大差ないんだろうけども。
「花風くんがどうしてここにっ」
頭巾にしていたハンカチを外し、慌てて向き合う。
「……ここんとこずっと、はれひが逃げるから」
そう言ってしゃがんだ膝の上に頬杖をついて、どこか不機嫌そうに言う。
(きゅ、きゅーん……っ)
って、きゅん!?!?
制御不能な感情が、またも一様に押し寄せる。
これは絶対ツバちゃんのせいだ、ツバちゃんのせいだ。
恋とか、なんだとか、言うからっっっ!!!
ふて腐れているその表情に、目を離したいのに離せない。
(え、可愛……って、違くて!!!)
なんでこんなにも、キュンキュンドキドキしてるんだ!?
今までの「イケメン」だからとか、「奇跡の美形」だからとか、そういう生理現象とは、ちょっと違う。
これは――……。
故意。
これが“恋”なのか!?
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