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自宅での仕事を許された岳人は地下室でパソコンを睨んでは、鉄の塊や各国から取り寄せられたありとあらゆる素材を手に取り、形作る。
地下室は金属音が響き渡っていた。
地下室を籠る生活が半年を過ぎた頃、ようやくロボットがロボットらしくなってきた。
性別は女。女のロボットから先に試作してくれと国から要望を受けていた。
最後のコードを書き終わり、Enterキーを押す。
岳人のそばで横たわっていたロボットの腕がピクリと動いた。そしてゆっくりと体を起こし、彼女は目を瞬く。
(動きも滑らかだ。人間の動きと何ら違わない。集められた素材が、いかに素晴らしいものか分かる)
ロボットの質感や温もりを確かめるために、手のひらを触る。すると、ロボットが眉根に皺を寄せた。
「何よ急に触ってきて、変態。てか、アンタ誰?」
それがロボットの彼女の、第一声だった。
「C-01、朝だ。起きろ」
地下研究室のベッドで眠る彼女を、起こしに行く。
「ああ、もう朝?まだ眠りたい」
「朝食を用意した」
C-01の朝食は、エナジードリンクという名の、特殊バッテリー。人間らしい動き、質感や体温を保つための、重要なものだった。
「あのさぁ、あのジュースあんまり美味しくないのよね。もうちょっとマシに作れないわけ?」
目を擦りながら言う、C-01。
「分かった。改良しよう」
「それとさ、”しーぜろいち”って呼ぶのやめてくれない?あんた、まじセンスないわ」
C-01が髪を指に巻き付ける。
「分かった。新しい名を考えよう」
「ほーんと朝から辛気臭い顔見て、萎えるわ」
C-01が、1人階段を上がっていった。
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