余韻

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「右京くん、おはよ。朝ごはん作ってくれてありがと」 右京の心境になど全く気付いていない美紅は、嬉しそうに右京の胸へと飛び込んでくる。 「――!?」 右京、赤面しながらただただパニックに。 「みみみ、美紅! 頼むから、せめて下は穿いてくれ!」 美紅の肩を両手で掴んでから押すようにして引き剥がし、一歩後ずさりして距離を置く。 「下?」 美紅は不思議そうに自分の下半身を見下ろして、 「えっ……」 寝ぼけ眼が一気に大きく見開かれて、 「きゃーっ!」 右京のスウェットの上から太ももの辺りを両手で押さえ、大慌ててリビングから出ていった。 まだ湯気の立っている朝食が並べられているテーブルの傍に立ち尽くしていた右京は、 「もしかして……知らなかった、のか?」 テーブルの足元にヘナヘナと座り込み、 「はぁーっ」 緊張と羞恥心から解放されて、深い溜息をついた。 その後、無事に自分のパジャマへと着替えた美紅が戻ってきたが、 「……」 「……」 双方、恥ずかしくて気まずくて、食事中は何も話すことが出来なかった。
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