1 ― NiXXle shaped stain 37年ものの赤ちゃん

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*** べたつく肌に、Tシャツがじっとりとへばりつく。 夕方だというのに汗が止まらない。 ぱたぱたとTシャツを扇いでみても、もちろん乾くわけがない。 髪を結わけば少しは涼しいかもしれないけれど、顔の輪郭を隠したいから結わきたくない。 軽く苛立ちながら、手垢を避けてファミレスのガラス扉を押した。 あたしを見つけたチカくんの真っ白な手がひょいと上がり、左右に振られる。 そこまでしなくたってわかるよ。 まったく呆れてしまう。 チカくんはいちいち動作が大きい。 手足が長いから尚更そう見えるのかもしれない。 目に刺さりそうなくらい長い前髪から覗く瞳が、あたしをじっと見つめる。 「来てくれて、ありがとう。いち()」 重低音の声はゆっくりで、空きっ腹によく響く。 あたしはこめかみから滴りかけた汗をハンカチで拭い、メニューをめくった。 拭かれたばかりなのか、ページとページがぴたぴたくっつく。 ベルを鳴らして店員に注文すると、すぐにお冷やを出された。 額に当てたいのをこらえて喉に流し込めば、グラスはすぐに空になった。
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