詩「真夜中の嘘」

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口にテープを張って夜、眠りにつこうとする なにも不満なんてないし、窓ガラスの向こう側は夜空で 耳をすませば終電のアナウンスがかすかに聞こえてくる いったい私はいつから大人になったんだろう 夜の風が黒いように当たり前の嘘 私は一日を一日だと把握できるようになってから大人に  なったんだと思っている だるい あまりにも感情が多すぎて 覚えることより思い出すことに 人は人生の大部分を失っていく トイレで目が覚める真夜中だ ふらふらと汗ばんだ身体を冷ましたかったのか今はもう  わからないけれど ベランダに出て見上げる夜空に意味なんてなにもないん  だって どうして私にはわかってしまうのだろうか 跳べ 世界に散らばっている悪意たちよ キラキラと輝きを取り戻す朝日が嘘になるその前に
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