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さっきまで寸分の狂いもないリズムで素敵なベースを披露してくれていたメンバーの木之下さんが、ゆっくりと私たちに近づいてきた。
「はい。これ、俺らから」
そう言って私に手渡してくれたのは、サインが書いてある色紙だった。
「っていうか大也、こんなんで本当にいいの?」
と木之下さんは大也に聞く。
「だって、こいつ、家宝にするって言うんだもん」
色紙には大也も含めて4人のサインがちゃんと入ってる。
私が言ったことをちゃんと覚えていてくれたんだ。
胸がいっぱいで、涙が次から次へと溢れてくる。
「あ、ありがとうございます!家宝にします!」
結婚するってこういうことか。
特別な式なんてなくても、特別な格好をしていなくても、みんながこんなに温かく祝福してくれるんだ。
「カケル、なんか歌ってよ」
と大也は突然カケルさんに振った。
「そーだな。
じゃあ、定番ウエディングソング I LOVE…いきまーす」
国宝級のカケルさんの歌声がアカペラで響き渡る。
ずっと大也に支えられながら、
笑顔に溢れたこれ以上ないくらい贅沢すぎる時間を、過ごさせていただいた。
嬉し涙はなかなか止まらなかった。
それから数週間後のファンクラブ限定のフォトコーナーには、
「祝結婚」と書かれたケーキの写真があがり、『曽根大也が入籍しました』
というコメントが載っていた。
その後かなりバズっていたけど、
そのほとんどが温かいメッセージで、ホッとした。
<アフターショー> end
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