新米看護師と毒舌患者

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「はっ、妄想に縋る夢など、たかが知れてるわ。 そもそも、あんたが乙女の夢を砕こうとするから悪いんでしょ! 言っておきますけど、最初に絡んできたのはそっちなんですからねーだ」 「…あの〜」 「絡んでない!あんたが俺に話しかけてきたからだろ!? “うわー、ライトノベル読まれるんですか。私も読書好きなんですー” って。 だれが“乙女”だ?! 俺の推し、七ッ橋乙女ちゃんを愚弄するな! あと、語尾伸ばすのやめろ、可愛くねえから」 「なんですって、この…」 「…あの〜」 「「うるっさいっ!!!!」」 異口同音で振り返ると、同室の患者さん、糖尿病の市橋さんが怯えている。 「す、すみませぇん…」 更には、 縮こまって謝る市橋さんの後ろに、額に青筋を立てにっこり嗤う看護師長の姿が。 青くなった私に、彼女は猫なで声で告げた。 「松井さ〜ん?もう検温は終わったのよね。 ちょーっとこっち、いらっしゃぁ〜い♡」 「…はい」 大人しく師長の後に従う姿に、アイツが声を殺して嘲笑っているのがムカついた…
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