最終章 普通の恋愛じゃ物足りない?

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「なんでホテルのラウンジ?ここでいいじゃん」 俺は壁時計を見上げて言うと、二人は首を傾げてノーコメント。ナミが受付のデスクで電話で話しながら俺をチラッと見て、自分の腕時計をペシペシと指で叩いている。仕方ない。面接官が面接に遅れるわけにはいかない。茶封筒を今更渡されても、見る時間がない。とりあえず急いでホテルに向かおう。車を出すのは面倒なので、タクシーで向かう。指定されたホテルまで、タクシーなら10分で行ける。履歴書を見たいのに、仕事の依頼や祐美ちゃんたちから仕事の相談メールが立て続けに届いて、茶封筒を開ける暇もない。あっという間にホテルに到着して、仕方なくすぐにラウンジに入っていくと、受付にいる店員に、 「面接で待ち合わせをしてるんですけど、えーと、…エーアールです」 と社名を伝えると、店員はニッコリ微笑んで、「こちらです」と案内してくれた。エーアールというのは、Aが「朗」、Rが俺の名前。国際的に広げていくという意味も含めて、『ARインターナショナル』という社名になった。 奥の窓際まで行くと、パーテーションで半個室になっている席に案内された。 ここはクライアントともよく打ち合わせに使うラウンジで、他の会社の人たちも利用しているため、こんなふうにパーテーションで仕切った席が用意されている。オーダー以外はあまり店員は近づいてこないので、面接しやすい。そうして店員に案内されると、俺はそこでネクタイを襟首でしっかり締めて、深呼吸。面談とか面接とか、めっちゃ苦手だ。が、そうは言ってられない。 「お待たせして申し訳ありません。社長は来れないので、副社長である私が…」
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