最後のカオリ

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 彼女は、男の手からグラスを取ると、窓外に逃げた。 「おいコラー、待てよー!」  彼は、酔っぱらいかけている体で、非常ドアへと駆けた。  そこは南側の端で、人一人がやっと立てるスペースだ。 「おいおいカオリ、全部はダメだよ。返しなさい」 「貴方、怖くないの?」 「何を言ってるんだ。ここは、わしの自宅なんだ」  男はカオリを追って窓外に出た。 「考えてみれば、ここに立つのは何年ぶりかな‥‥」  窓外に降雪は無く、雲海のような光景が広がっていた。
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