プロローグ

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宇宙世紀0079 7月 インド洋上空・・・ 「しつこいなっ・・・ドップの奴め!」 オーストラリア方面軍の中でも東に位置するトリントン基地所属の戦闘機パイロットで有るショウ=カノウ少尉はチッと舌打ちしながら愛機で有るFF-4トリアーエズのコクピットからチラチラと背後を気にしていた。 「ゲイル02から04へ僕が囮をしている内にお前は離脱するんだ。」 「それでは少尉が・・・!?」 「悪いがお前を守りながら相手が出来る相手じゃ無い・・この意味が分かるな?」 そんなショウからの指示にゲイル04も自分の力量不足を察したのか了解・・・と悔しそうな声を出しながら機体を基地が有る方へと旋回させると、そのゲイル04を無事に離脱させる為に後は任せろ!と叫んだショウは操縦桿を一気に引くとドップに気を引くために高度を上げ始めたのだ・・・ (やっぱり上昇力に関してはドップの方が上か・・・) アフターバーナーを吹かし急上昇を行うショウのトリアーエズに遅れて加速し始めたドップが肉薄し始めると、ならこれはどうだ!!と即座にエンジンカットしたショウは失速する機体が下を向くと同時に機首に装備された20ミリバルカン砲を発射した。 「貰ったぁ!!」 そんなショウの機動にドップのパイロットがギョッとしたのか咄嗟に機体を右に旋回させ回避に成功するが同時に降下する形となりショウのトリアーエズは背後についたので有る。 「良くも散々追っかけ回してくれたな・・・」 新人パイロットを守る為に大胆な機動が取れなかったショウが鬱憤を晴らすかのようにピッピッとHUDに映るドップをロックするとトリアーエズの翼に装備された空対空ミサイルを発射した・・・ 「ゲイル02 フォックス2!」 以前は命中率の高かったミサイルだが・・・この時代ミノフスキー粒子と呼ばれるレーダー機器を無効化する物質が発見された事も有り赤外線式しか通用しなくなると一気に西暦時代の空戦となり良くも悪くも旧暦のドッグファイトとなってしまったので有る。 「フレアかっ!」 前方のドップから発射された発光弾により自機のミサイルがその方向に逸れるのを確認したショウは兵装を再び機銃に変更するとHUDに映るドップにレクティルを合わせた・・・ 「これでお終いだ・・・フォックス3ーーーっ!!」 そう叫ぶショウのトリアーエズから発射された20ミリ弾がドップの右翼を撃ち抜くとビンゴ!と叫ぶショウの声と同時にコントロールを失ったドップはそのまま海へと沈んだので有った。 「ゲイル02からトリントンコントロール・・・ボギー(敵機)の排除に成功・・・これより帰投する。」 今日もどうにか生き残ったな・・・と言った顔でショウが安堵しながらトリントン基地へと通信を繋ぐと、お疲れ様ですゲイル02。とショウは聞きなれない女性管制官の声に首を傾げた。 『ゲイル04からの救援要請により増援がエスコートに向かってますので宜しくお願いします。』 「ああ・・・分かった。無事に戻ったら一緒に酒でもどうだい?」 『そうですね・・・美味しいご飯も有ればご一緒します。』 「それなら馴染みの店が・・・」 そう言い掛けたショウがビーっと鳴り出すロックオンアラームに操縦桿を 倒すと、ゲイル02!?と女性管制官から焦る声がコクピットに聞こえて来たショウは雲の上から急降下して来たドップにチッ!と叫んだ。 「こなくそっ!?」 そんな声を上げバラララ!!と30ミリ弾を撃って来るドップに対し右足のフットペダルを蹴り操縦桿を右に倒したショウのトリアーズは右に急旋回しながらもドンドン!とエンジンと尾翼に被弾したので有る。 「クッ・・・2番エンジンの油圧低下!機体のコントロールも効かない!?」 『脱出をゲイル02!後120秒で増援が到着します。』 そう淡々と指示を出す冷静な管制官の声にショウは了解!と答えるとシート下に有るレバーを引いたのだ。 「くそったれぇぇぇ!!」 バシュ!とシートごと空中へと放り出されたショウはすぐに展開したパラシュートでゆっくりと海面へと落下すると、ドン!とドップが発射したミサイルによって爆散した愛機に向かって苦笑いを向けた・・・ 「あーあ・・・またおやっさんに頭を下げないとな・・・」 そのまま海へと着水したショウはガクっと項垂れると二機の救援機が到着するまで海水浴を楽しむ事となったので有った。
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