つげる

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そもそも問い掛けても貴方は答えない。貴方に自我はないのだし、私には貴方に通信する権限もないから。これは独り言であり、私の心情の吐露。……言わば告白だわ。 ただ、知った事。多大な時をまたぎ、貴方は広大な宇宙を駆けて行く。人の好奇心に導かれ、その英知が測り弾きだした遥かなる計算の軌道に乗って。 CPUはたった8.1Mhz、メモリ容量は69.63KB。この時代、私達が片手にする小さな機械のそれよりも小さな演算機能。 でも貴方が飛び立つには、あの日、あの時が最も望ましかった。幾つもの惑星を、衛星を観測しながら、それらの重力を飛び立つ力の一端とする。そう、スイング・バイで同じ太陽系にある星から旅行く力を得て、果てしない宇宙を単身で行く航海者よ。 今、貴方は何を見ているのでしょうか。 NASAから発表される膨大な衛星や惑星の映像。 遥か遠くに在って、光溢れる都会では肉眼で見るのも難しくなった惑星の姿を、あれ程に接近して観測して。引き従える衛星や、星々の欠片から作られたリングの影が惑星に落ちる様子をハッキリと映しだし、ダイナミックに変化する液体のメタンの雲や、地球一つ軽々と飲み込む台風の姿を見せてくれた小さくとも偉大なる存在。
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