つげる

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誰が想像したのでしょう。氷の惑星に、氷の火山があるなんて。 凡百に過ぎない私には、想像してもしきれなくて、意識の一端に驚きと共に刻みつけられた神秘の世界。 あの氷の下に生き物がいる可能性があると知らされても、地球ではありふれた水でできた氷よりも冷たい液体の中に命が在るなんて理解が(およ)ばない。 液体の水が存在するハビタブル・ゾーンを超え、2012年には太陽風の届かない場所、ヘリオス・フィアをも超えて貴方は旅行く。 そこは最早太陽からの(わず)かな重力と暗黒だけが支配する世界なのだと。主星である太陽の姿も遠く、貴方を打ち上げた人の住む惑星の姿は小さ過ぎて望めるとは思えない場所。 次に目指すのは、オールトの雲なのでしょうか。在るかも知れない、惑星でしょうか。 彗星の生まれる場所、太陽の重力が及ぶ世界の端っこに。 76年の周期で巡るハレー彗星。それをもう一度目にするのは、この歳だから望めないのでしょうけれど。 知っていますか。今まで太陽系に、たった三つだけ太陽系外からの使者が来た事を。 一つはオウムアムア。 細長くて隕石と呼ぶには余りにも歪で特殊な形状。あれこそ他の知的生命が、宇宙へ向けて送りだした観測機なのではとの夢想すら信じさせてしまいそうな、不思議な姿をした旅人。
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