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最後の試合
7月、夏の暑さが本格的入る前、体育館のバスケットボールコートの周りでは、歓声と熱気が立ちこめていた。
マネージャーである私は、コートの片隅でスコアシートが挟まったバインダーを握りしめ、じっとフリースローを見守っていた。
(入ればまだ逆転のチャンスがくるかも。くるから。入る入る入る)
と祈るように見守っていた。
ガッタガッ、っとバスケットゴールの枠に鈍く当たったボールはゴールを外れ、リバウンドのボールも奪われてしまう。相手は時間を、気にしながらオフェンスに入る。そして、ゆっくりパス回しをしながら時間をかせいでいる。
応援席から時間のカウントダウンが聞こえて、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
とうとう終わってしまった。
夏のインターハイの県大会の決勝トーナメント、ここまでこれただけでもすごかったのだけど、あと一歩足りなかった。
試合後の挨拶をして、うなだれるメンバーたちは応援に来てくれている観客席へ挨拶へ行く。
メンバーたちは一列に並んでキャプテンである彼の号令とともに
「ありがとうございました!」
と頭を下げる。
そのまま顔をあげれないメンバーが何人もいる。その一人一人に声をかけて、肩を抱いてずっと話しかける。メンバーみんなが汗と涙でぐちゃぐちゃになっている中、彼は最後までみんなのことをケアしていた。
私たちマネージャーたちもボロボロに泣いていた。3年間の放課後の練習、試合、合宿が走馬灯のように過ぎていった。
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