ゾンビの被害

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「真っ当な人間に見えたんだけどなぁ」 「ですかねぇ……」 「おまえ、なんかあれじゃない? ……あれ」 「あれ?」 「ああそうだ。上の空だ。全然こっちみないじゃん」 「いやぁ、なんかちょっと調子悪くて」 「大変だな」 「いやまあ何とか。それよりも、人は見かけによらないと言いますし」 「確かにな。実感したわ」  そもそも、先輩に女の子を紹介するという思考を持っている時点で、多分真っ当な人間じゃない。  その知り合いも推して知るべし、という気がするのは僕だけだろうか。  まあしかし、それをここで指摘して噛みつかれるのも癪なので、とりあえずそれっぽい事を言うことにした。   「女の子も年々ガードが固くなってきてるんですよ」 「ガード?」 「簡単に紹介されてくれる女の子が減っているのでは、という事です」 「そうなのか……」 「街中でも割と武闘派の子も増えてるみたいですよ」 「こわ。迂闊に手ぇ出せないじゃん」  迂闊に手を出していたのか、と思ったが、先輩なのでその突っ込みは野暮というものだろう。 先輩ほど貪欲ではないものの、僕も女の子に関してはさっぱりご無沙汰なので多少恋しい思いはある。
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