ゾンビの被害

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 「あー、最悪だったわ。騙されたわ」    先輩は完全に怒っていた。やたらにテンションが高く、モーションが大きいのがその証拠だ。  急に呼び出すから嫌な予感はしていたけれど、完全に今日は愚痴に付き合わされる奴だ。  僕の方はあんまり地用紙が良くないので、ほどほどにしてくれるとありがたいのだけれど。  まあ、無理だろうきっと。 「どうしたんですか?」 「知り合いの知り合いがさ、女の子紹介してくれるっつーから行ったのよ」 「はあ、良かったじゃないですか」  先輩は万年女を求めている。  生粋の女好きを体現したような人だ。 「良くねぇんだよ」 「はあ、それはまた……」 「行ったらゾンビ。マジで萎えたね」 「あー、そのパターン」  ちょっと綺麗なゾンビに化粧を施して、まるっきり生きている女のように見せかける奴だ。  化粧品の匂いなんかでごまかされるから、噛みつかれるまで分かんないこともあるという。  男女ともにゾンビの被害はかなり増えているようで、注意喚起の声は絶えない。
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