糖分過多

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「いえ。キスは挨拶じゃないと思いますけど?日本人ですし」 「俺もそう思う」 「「「!」」」 呆然とする私達を他所に楓と村瀬さんが隣のテーブルに座る。な、なんで二人がここに……? さっき楓に弟がパリに来ててすみれと三人で出かけるとは連絡したけれど。 「い、いや!村瀬じゃないの!目が焼けるわ!」 「南条は相変わらず失礼ですね。人を妖怪みたいに」 「妖怪の方がまだマシよ!大和!席代わって!」 「!あ、はい」 「……」 大和は大和でさっきから色々とすみれに気を使ってて舎弟のような感じなんだが。常に尊敬の眼差しを向けているし。 「里津、何食べてるの?」 楓が私が頼んだデザートをじっと見る。 「クリームブリュレとシトロンのシャーベット」 「美味しそう。一口食べても良い?」 「どうぞどうぞ。それより仕事は?」 「今日はもう上がり。雪臣と少し遠くにあるカフェの視察に行こうと思ってたんだけど、」 「私、場所の連絡してないよね?」 「うん。でもここはすみれのお気に入りのカフェだから多分ここにいるかなって思ったら当たった」 「すごいね。楓は何頼んだの?」 「洋梨のタルト。食べる?」 「あ、食べたい」 そんなやり取りを見ていたすみれが一言。 「あ~、一人身にはちゃぶ台をひっくり返したくなる光景だわ」 「ほんとそれなー。姉ちゃんデレデレすんなよな」 「そうよ!付き合って一年は経つのに喧嘩の一つや二つや三つくらいしたらどうなの!?」 「あ、はは」 そう、一年経つけど喧嘩という喧嘩はない。 意見の食い違いは勿論あるけど、お互い大人だし口論までにはならないんだよな。 「南条、男の嫉妬は見苦しいですよ」 「なんですって!?私は乙女よ!」 「乙女?どこにいるんですか?」 「……」 カオスだ……。皆顔面偏差値高いのに、とてつもなくカオスな空間だ……。
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