青年よ愛を抱け!

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「ん"んっ、失礼。……私たちの学問への追求は尽きることなく日々勉学に勤しんでいます。  時に気絶するまで懸命になり、成果を求め躍起になり、挫折や脱落も目にしてきました。  過度な期待に不安を覚え、実体のない将来に当惑もしました。  恵まれた環境で贅沢な考えとお叱りを受けるかもしれません。  ですが私たちの生活は有意義なだけではなく、寂寞(せきばく)も付きまとい、我慢や努力で解消できるものではありません。  息がし辛いときもあるでしょう」  皆がきゅっと唇を噛み締めているように見えます。  苦悩と苦渋を味わった経験が誰しもある。  その弱みや痛みさえも周囲にひた隠し、ひたすらに耐えてきた。  硬い石のようになった心の泣き所に、本心の代弁が突き刺さり砕いてくれたのですね。  じんわりと雪解け水が行き渡り、春風がそよぐ清爽な気分が訪れました。  おやおや、天を仰ぐ卒業生も何人かいます。 「そのようなとき、頂戴した激励が救いとなってくれたのです。瞬く間に息を吹き返し、体中がやる気で(みなぎ)ってくるのです!  決して孤独ではないと心の支えになってくれたのです!!」  冷たい土をあたたかな光が照らし、そぉれと若草が芽吹くように―――。  つい萎縮して心細く殻に閉じこもってしまうとき、思いやりのある声援が原動力となり、打破する手助けをしてくれた。  そう皆の心に伝い響いたであろう……そのとき!
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