最後の私

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c0f7e21c-0220-454c-94a9-bb2796de9588 でも、最後の最後に。 「最後の私」は、最後の瞬間に、蘇った。  それは、歓喜にも似た感情だった。  夫も、娘も、途方にくれているのかもしれない。  それは、わかっている。  だけど、やっと楽に息ができて。  自由に手足が伸ばせて。  私は、「私」に戻れた。  だから。  私は、「私」に戻れた私を、手放すつもりはなかった。  そうして。  良い香のするバスタブで手足を伸ばし、お湯を堪能して。  よく冷えたシャンパンを備え付けのグラスに注いだ瞬間。  ホテルの窓の外が、まるで何万発も花火が爆発したように輝いた。  私は、その輝きの中、シャンパンに口を付けて。  こう、思った。  「ああ、美味しい」と。  それが。  「最後の私」が、最後に思ったことだった。
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