桜餅

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 僕は今、桜が嫌いです。  頭の中には満開の桜や、一本だけ佇む桜、ライトアップされた桜、花びらを散らす桜、恋人が手を繋いで桜並木を歩く光景などなど、桜で埋め尽くされているのですが、今は桜のことを忘れたくて仕方ありません。  僕は小説を書いていました。  書くといっても、小説投稿サイトで活動しているだけの趣味レベルです。  その小説投稿サイトでコンテストが開催されました。  テーマは『桜』でした。  僕はコンテストに応募すべく、『桜』をテーマに小説を書いていました。  けれど、納得のいくものが書けません。  納得ができなくて、書いては消して、書いては消してを繰り返してばかりいました。  ちょっと息抜きをしようと窓を開けて外の景色を見ました。  郵便局のバイクがぶーんと音を立て通り過ぎていきます。その後を大きなトラックが大きなエンジン音を響かせて通り過ぎ、そこから続けて何台もの車が通っていきます。  うるさいな、と思いました。  息抜きするどころか、ストレスを感じて窓を閉めました。  改めて小説を書くことに向き直り、そして改めて『桜』をテーマに自分が描いたストーリーを頭の中で想像し、ノートにずらずらと箇条書きしてみました。  けれどやっぱり、どこかありきたりで、刺激も足りない、どこか自分の頭の中と違う、と納得ができません。  それでも応募はしたいと思って、何度も何度も構成を練り直したりして書いていきました。  けれど、やっぱりありきたりで、頭の中には満開に桜が咲き誇って、風に吹かれた花びらが雪のように舞っているのに、納得のいくように表現もできず、書くことができませんでした。
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