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「大丈夫よ、いざとなればわたしがいるし」  と、こともなげに〈アンティセプティック・チーム〉のリーダー、小佐野美潮(みしお)隊長が言い放つ。読者諸兄においては〈ラーメン三郎〉の名前は知れ渡っているであろう。一部の向きには「こわいお店」として……。  葉桐(はぎり)薫も、彼女となかよしの来栖(くるす)治子(はるこ)も、〈ラーメン三郎〉のこわさをネットの書き込みなどでよく知っていた。   「あの、葉桐先輩も来栖先輩も勘違いをしていらっしゃるわ、わたしも真実を知りましたから……」  と、ASTこと〈アンティセプティック・チーム〉の中等部一年生……一年生は彼女ひとりである……の小悪魔(コケット)六花鐘(りっかしょう)碧砂(へきさ)がストライカー歩兵戦闘車を運転しながら口をはさんだ。  薫は突っ込みを入れたくなったが、現実に〈ラーメン三郎〉に行って食べている人間の言葉には重みがある。碧砂はあくまで小佐野隊長の乗るストライカー歩兵戦闘車の運転手として〈ラーメン三郎〉に連れていかれているのだが……。    そして今、薫と治子はストライカー歩兵戦闘車のなかで必死になって〈ラーメン三郎〉、しかも神田神保町店のマナーなどをスマートフォンで読んでいたのだった。 「こちら〈アンティセプティック・チーム〉、学園裏の魔界ポータルから神田神保町へ向かう、性体(オルゴン)エネルギー数値は異状なし、管制側(コントロール)の観測値を求む」  小佐野隊長が問い合わせると、魔界ポータルの維持に必要なオルゴン・エネルギーは満たされている。この、魔界ポータルを成立せしめているオルゴン・エネルギー、それも供給方法については別稿で扱う。 「ありがとう、そちらも素敵なランチ・タイムを。オーバー」
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