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「あなた、何者なの?」
水琴は張り詰めた緊張を緩めることなく、剣を構えた。
『レオラだよ・・・。眠いから、手短に片づけさせてくれない・・・かな?』
嫌な予感はこういう時に当たるのよね・・・
水琴は考えを一度置いとき、溜息交じりで話しだした。
「あなたの目的は?」
『んー、言えないよ。そこまで知りたいなら、ふわぁ・・・、倒してみなよ』
宣戦布告に等しい、いえ、宣戦布告そのものだ。
「轟け!氷雪の棘地獄!」
『消えろ!悪夢の迷路』
黒い迷路の中に水琴の術式が侵入し、無効化した。
「おい、術式無効は違反だろそれ!!!」
『どの口が、言ってるんだよ・・・ふわぁ』
ビリビリしてます。
「あー、実力行使でボコさなきゃダメだなこれ」
『え?』
「貫け!氷結の蜃気楼」
『無駄だ!!』
レオラが再び悪魔の迷路で術式を無効化しようとする。
が術式は囮だ。
「私が使えるのが術式だけと思わないことよ」
剣でレオラを斬りつける。
『・・・・・・っ』
「ト、ド、メ!!」
『我の盾となれ!!ゴーレム!』
レオラを抱えてゴーレムが盾となった。
「って、ゴーレムどこから来たんだよ!?」
『どうでも・・・いいだろ』
吐血しながら途切れ途切れに話す。
『さすがに、無茶しすぎちゃったな。ここは潔く撤退にさせてもらうけど、負けたわけじゃないからな』
レオラはそう言い残しゴーレムに抱えられながら消えていった。
いつの間にか氷の対戦フィールドは消えてた。
「無事かい!?」
駆け出してきた男性。
「ええ。ところで今更で申し訳ございませんが、貴方様のお名前、お教えもらっても良いでしょうか?」
水琴は衣服に付着したホコリを落としながら男性に聞く。
「僕は、魁 水頼だよ。君こそ教えてくれないか?」
「私は、立花水琴。よろしくね、魁くん」
「水琴か。こちらこそ。ところでだが、さっきの怪物たちはなんなんだい?そして君は一体何者?」
「知りたいですか?」
「ああ」
水琴は周りを見渡しながら結んでた髪を解きながら話した。
「人が多い場所は嫌です。静かな場所で話したいです」
「わかった。僕の家で話聞くよ」
ポケットから出した飴を口に入れながら答える魁。
「一人暮らしなの?魁くん」
「まあ、な」
水琴は目を輝かせて話した。
「一人暮らししてるんですか!いいなー」
「と・・・とにかく家に向かうぞ」
2人の様子を見つめながら一人の女性が
「私がこれを持ってるのは偶然・・・なの?」
手のひらにある小型の弓をじっと見ながらボソッと呟いた。
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