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まあ、その後の阿鼻叫喚はお察しということで。
そして姫様は新たに嬉しくない三つ目の名前を頂いてしまった。
その名は
『雨漏り姫』
そんな不名誉な名前を囁かれていると聞いても、姫様はただ笑うだけだった。
それから二年後。
姫様は輿入れされた。私は文字通り泣いて喜んだ。
更に七年後。
「旦那様、子どもたちが。」
「あ?又あやつらは桜に登っているのか。木が傷つくのに。」
子どもたちを止めなければ。花見台から腰を上げると妻が袖を引っ張った。
「大丈夫ですよ、あの子達も桜守の人間ですから。」
そのむかし雨降り姫と言われ布団の中で泣いていた妻は、花びらを肩に乗せ柔らかく微笑んだ。
[完]
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