8.初めて気づいたこと

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「良かった…」 安堵の溜息を吐きながら、嬉しそうに雪花が口にすると、月鬼も何となく嬉しくなり、無意識に口元が綻んでいた。 そんな2人の様子を見ていた栄達は微笑ましく感じて、クスクスと笑っていた。 「なんだよ…」 ムッとしながらも、どこか照れた表情で月鬼が言った。 「いえいえ、お2人共、仲良しだなって」 栄達がそう言うと、雪花も月鬼も顔を真っ赤にしていた。 「そ、そんなこと…」 「至って普通だろ…」 気恥ずかしさから、お互いが見れなくなり、視線を背けながらそう言った。 「はいはい、分かりましたよ」 栄達は尚も笑いながら2人に言った。 「ひとまず安心ではありますけど、背中の傷はもう少しかかりそうなので、もうしばらくは安静にしていてくださいね」 道具を片付けながら、栄達は月鬼に注意を促した。 「え…まだ動いたら駄目なのか?」 月鬼は不満そうだった。 「駄目です」 栄達はにこりと笑って答える。 「ちょっとくらいは…」 ずっと寝ていたため、身体を動かせずにいた月鬼は、今後のことも考え、早く身体を動かしたかった。 「駄目です!!」 笑顔のまま強めに栄達に言われ、さすがの月鬼も少し怖くなったのか、諦めた様子だった。 だが、栄達はそれでも心配だったようで、 「姫様、月鬼殿がちょっとでも身体を鍛えようとしたら、飲み物にこれを混ぜてください」 と、雪花に何かを包んであるらしい薬包紙を差し出した。 「これは…?」 雪花は渡された包みを不思議そうに眺めていた。 「月鬼殿が薬です」 栄達がにこりと笑ってそう言うと、月鬼が物凄く嫌そうな表情になった。 「栄達…お前、まさか、覚えてるのか…?」
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