新学年

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 あれから3週間が経ち、俺達は2年生、会長達は3年生になった。  クラスはほぼ持ち上がりで、メンバーは1年の頃と変わらない。しいて言うなら、見るからに不良っ!という雰囲気のある秋草(あきぐさ)虎狼(ころう)が加わったぐらいだ。  秋草は野性味のあるイケメンだ。ボルドー色に染まった髪は外側に少しはねてて、切れ長な茶色い瞳はまるでこちらを睨んでいるようにも見える。  彼が恐いのか、興味深そうに見る者はいるが、近寄って話しかける勇者はほぼいない。  今日はやっと3日間にわたる最初の実力テストが終わり、本格的に授業が始まる日だ。  順位はまだ出ていないが、今回はかなり手応えがあったので3位ぐらいかもしれない。今から楽しみだ。 「そういえば水無月君、生徒会の方は今日大丈夫なの?」  3時間目の休憩時間、隣の席の佐久間が話しかけてきた。  こちらを伺うようにしながら、ニコニコ爽やかな笑みを浮かべている。今日も相変わらず爽やかですねー。 「昨日のうちに今日のもある程度終わらせてたからね~。だから今日はちゃんと授業に出れるんだぁ」  隣を見てヘラヘラと軽く笑う。 「そうなんだ。すごいね、生徒会は」 「ん~?」 「だって、テスト期間中も仕事があったってことだろ?」 「あ~、そういえばそうだねぇ。もう当たり前のことになってたから何にも思わなかったよ~」  確かにそうだな。よくもテスト期間中にも仕事を増やしてくるよな、理事長達(上の者)も。もはやブラック企業(なみ)だと言っても過言ではない気がする。 「それは…なんていうか……」  軽くショックを受けたのか、佐久間はなんとも言えないという顔をして苦笑した。しかし、それだけでは持ち味の爽やかさが損なわれる事はない。 「「ねぇねぇー!」」 「マコちゃんとー」 「さっくんはー」 「「2人で何の話をしてるのー?僕たちも混ぜてよー!!」」 「……ねむい…」  双子が眠たそうにしている慶を引っ張って、元気よく突っ込んできた。 「生徒会役員はすごいねって話をしていたんだよ」 「生徒会の仕事がブラック企業並だって話だよ~」 「「????」」  佐久間と言葉が被ってしまい、しかも、別のことを言ったので双子が混乱してしまった。どちらも間違ったことを言ったわけではないのでなんとも言えない。 「……フワァ…」  その間にコクコクと、慶が立ったまま船を漕ぎ始めた。 「慶、今は眠っちゃダメだよぉ。これあげるからガンバって起きてよ~ね~」  ブレザーのポケットに入れておいたココア味の飴を取り出し、慶の手のひらに置く。 「ありが、と…」  パァッと分かりやすく顔を輝かせ、いそいそと飴の包み紙を取って口に含んだ。  あぁ、慶がかわいい…。  (すさ)んだ心が浄化されていくようだ…。                                                                                                                                                                                                                                                       
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