夏休み

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僕は今、空の上で京極先輩に頭を撫でられハグされ、眠たくなっています。 今日も京極先輩は「さ、くら、あ、たかい」と言っていました。今更だけど平均体温高めなのかもしれないです。 ぼーとする頭をなんとか支えて起きようとするけど、結局気持ちよく睡魔に負けていきました。 コクコクしてるだとか、寝顔可愛いとか、寝息の音かわいいとか聞こえてきたけど、寝息に可愛も可愛くないもあるんですか。 そして、まさかのまさか自分と睡魔との葛藤シーンを生徒会メンバー全員が持っていたなんて、まさかそんな、ねぇ? 「やっと着いたー、長かったねー」 「もう、耳痛すぎ!飛行機って聴覚に優しくないんだから!」 「ほんとそう!キーンってしたよね」 「ちょっと尻尾が窮屈でしたね」 「そうか?」 「種族が違えば悩みも違うんですね!」 海くんと陸くんはうさぎの獣人だから耳が他の人のより痛かったらしい。 僕も鳥系の獣人の人ようの特別席だったけど、正直身動きがとりにくかった。まぁ、生まれてこの方自分の翼にあったものなんてオーダーメイドにしない限りなかったから慣れっこ。 少し擦れて気になっていた翼の根元あたりをさすっていたら会長が申し訳なさそうな顔をした。 「すまない、痛かっただろう?サイズが合うように作り直そうとしたんだが時間が足りなくてな…。帰りの時までにはどうにかしよう。」 「いえ!ちょっと擦れてただけで痛くは無いですから、全然気にしないでください。」 さすがに自分のためだけに作り直して貰うのは申し訳ない。 「荷物は執事たちに任せてどこか行くことも出来るが、どうする?」 「一旦会長の別荘でゆっくりしてからにしませんか?時間はまだたくさんありますし、飛行機でつかれたでしょう?」 副会長の提案に全員が賛成し別荘に車で向かう事になった。 わざわざ言わなくても分かるだろうけど、その車はよくある黒いピカピカのお金持ちが乗ってそうな車体で、中まで高級感があってクッションがふかふかだったから… ここでも夢の世界へ半強制的に連れ込まれた。 「よっしゃ、俺の肩はこのためにしかないわ」 「おい結翔、咲桜の隣陣取って、頭がのっかっただけで調子乗ったこと言うな。性格と口が悪いことバラすぞ。」 「性格いいし。口悪くないし。信じるか信じないかは咲桜次第だろ?」 「はぁ、いつも演技が上手いですね。いつかは知られることなんですからとっとと本当の口調で話したらどうです?」 「俺のタイミングでな。最初からこのテンションで声かければ良かった。」 「「「「「ほんとそれ」」」」」
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