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すべて『十枚に三枚は当たります』と書いてある。
夫が買っているものは、十枚買っても一枚しか当たらない。
ならば、こちらのほうが良いじゃない。
そう思って私はスクラッチを買うことに決めた。
当選金額は順番に五十万、百万、三百万。
どうせなら、大きい金額のほうが良いか。
そう思ったとき、私はあることに気がついた。
百万のスクラッチの脇に、こう書かれているのだ。
『本日最終日』と。
残り物には福がある、という言葉を思い出した私は、売り場の女性に声をかける。
「すいません、今日までのこのスクラッチ、まだありますか?」
「はい、ありますよ。上から何番目とか、ご希望はありますか?」
どうやら自分で選ぶことができるらしい。
本日最終日の残り物を狙うなら、当然……。
「じゃあ、一番下のを一セットお願いします」
「一番下で十枚ですね、二千円です。ありがとうございます。大きく当たりますように」
こうして私は、何となく縁起の良さそうな日に、残り物の宝くじを買った。
※
帰宅して私はスクラッチの袋を開封する。
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