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「成功ですか? 」
「あと一歩。
ココでエレベーターに乗り込んだら
スアンは一階を押すんだ。
でもなぜかエレベーターは上昇する。
そしたらゴールだよ」
スアンが
エレベーターに乗り込んできた。
「コレで帰れるぞ、良かったな」
修司は彼女の肩にポンと手を置き
すれ違いながら降りようとする。
しかし降りれなかった。
修司は驚いて振り返る。
スアンは顔を真っ赤にしながら
右手で学ランの袖をつかんでいた。
左手はエレベーターの[開]ボタンを
押し込んでいる。
「スアン……? 」
「……嫌」
「え? 」
「お別れなんて……嫌」
沈んだトーンから一転、
彼女の声は明るいものになった。
「聞いて!
すっごい面白い友達が居るの!
オカルトに詳しい友達も!
それに、
紹介したい場所がいっぱいあるの!
修司さんだってコッチ来たいでしょ? 」
「スアン……」
「だからお願い、
さよならなんて、
さよならなんて言わないで……」
明るかった彼女の声も
最後の方は消え入りそうになった。
修司は両手で優しく彼女の手を握る。
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