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フェルディナンドの前に座っているので、必然的に腕に囲われるようになるのが何とも言えない。早く解放されたい……。
なんならフェルディナンドに前に乗ってもらって自分が手綱を握りたい。……それじゃあ前見えないか。デカいんだよ、この人。
アリシアが腕の中で悶々としている内に、やっと牧場に辿り着いた。
死ぬほど長かった……。
下馬のエスコートは丁寧にお断りしてヨロヨロとしながら馬から降りると、牧場の入口には『王室御用達』の看板が本当に掲げてあった。
こう言うのって許可とかいるんじゃないだろうか?
チラりとフェルディナンドの方を見ると何も言わないし、特に気にした様子もないので良いという事……なのかな?
馬を置きに奥まで入っていくと、馬場にはひと組の母馬と子馬が寄り添ってこちらを見ていた。
「あああああれって……あれって……ままままさかっ……!!!!」
道中の緊張による疲れが一気にぶっ飛んだ。
あの母馬はミンカ。そしてミンカに去年種付けしたのは……。
興奮をどうにか抑えて親子の方へ寄って行くと、ミンカがアリシアに子馬を見せるかのように近付いてきてくれた。
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