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序
人生の転換期は、いつもと変わらない日を過ごしている時に突然訪れるらしい。だから、誰もそれに気づかないという。
私もそうだった。
あの日、お父様の命令で嫁いだあの日から、私の人生は変わったのだ。
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エレンザ公爵家は、代々ローウェル王国の摂政を勤める家柄であり、私はその家の長女として産まれた。だが今は次女である。おかしな話ではあるが。
今から五年前のこと。
母が亡くなってすぐ、父は再婚した。
再婚相手は男爵家の令夫人。つまり、不倫の果てに、父と継母は結ばれたのだ。
二人は若かりし頃に恋愛関係にあったらしく、母が病に倒れている最中によりを戻したのだ、と世間で噂されていた。
しかも、継母の連れ子であるエレナを長女として公爵家を継がせる、という取り決めまで為されていたのである。
そんな事情を私が知ったのは、住み慣れた屋敷の一画から、離れにある女中部屋に追いやられた時であった。
そして、それ以後、私は公爵家令嬢とはいえない生活を送ることとなったのである。
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