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はぁ、なんでかなぁ? 思い通りにならない事があるのは当たり前だけどさ。 ここまでとは。 恵まれていると思えば楽になるのかな? 渡韓して2週間、彼は毎晩のようにやってくる。 今だって、当たり前のようにソファーに横になり、寝落ちする寸前。 「ソユン、もう帰れば?」 「帰らない」 「明日も仕事でしょ?」 「……チーム撮影だから大丈夫」 「何が大丈夫なんだか?」 「アンジュも撮影に来ればいいのに」 「役に立たない人間は行きません」 「アンジュがいれば、やる気でる」 「居なくってもちゃんとやるでしょ?今までだってそうだったんだし」 「今は違う」 「違いません」 「ねぇ、アンジュ」 「なに?」 「チャダ」 「しません」 「イヤなの?」 「ノーコメント」 「アンジュは素直じゃない」 そう言いながら、私を軽く抱き上げベッドへと運ぶ。 壊れそうなものを触るように、私に触れるソユン。 真剣な眼差しは、私の心を鷲掴みにする。 そして、私の全てを包みこみ、息が出来なくなる。 底なし沼の様な愛情に溺れていく。
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