04  @2013年、東京、新宿

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04  @2013年、東京、新宿

@2013年、東京、新宿  西新宿の高層ビル群に囲まれた歩道で、スーツ姿の譲は足を止め、ビルの陰に身を寄せる。  目の前の国道を、トラックやタクシーがすごいスピードで行き交っていた。  頻繁にクラクションの音が響く中、譲はスマホを耳にあてる。  資料の入ったビジネス仕様のごつい鞄を持つ手に汗が滲んでいた。 「あ、はい。申し訳ございません。次回には。あ、はい。ありがとうございます。詳細はのちほど資料をおくりますので。あ、はい。今回は本当に、、、あ、いえ、申し訳ございませんでした。あ、はい。ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。失礼いたします」  譲は相手には伝わらないのに、何度も頭を下げ、電話を終えた。  はあーっとため息をついたとき、私用のスマホがスラックスのポケットで振動した。  社用のスマホを鞄に入れ、私用スマホの新着メールを確認する。  送信元は、AKIRAとなっていた。  こんにちは。  仕事中でした。お疲れ様です。仕事中ですか?  ごはん、ぜひぜひ。こちらはいつでも大丈夫です。楽しみにしてます。  譲は内容を確認して、きつくこわばっていた表情を緩めた。 「よっしゃっ!」  小さくガッツポーズを作り、アキラと名乗った男の笑った顔を思い出す。それは自然とほかの男の笑顔に重なっていった。  譲は、スマホをポケットに戻し、大股に歩きはじめる。  周囲の背の高いビル達は、昼間の強い太陽の光を受けて、まぶしいほどに輝いていた。
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