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澄みきった青い空の下。
歴史的遺物を数多く展示する博物館。
「それでは、化石堀り体験、スタートです。皆さん頑張ってくださいね!」
「はーい!!」
その外にあるだだっ広い岩石広場に、子どもたちの元気な声が響きわたる。
「ねえ、キトリ」
「なに?ルーラ」
「この博物館、化石堀り体験が人気だから、あたしたちもやってるんだけどさ……」
「うん」
岩石広場の隅っこで、狙いを定め、黙々と手を動かす眼鏡をかけた少年に、目がくりっとしたボブヘアの少女が訊ねた。
「これ、人気でるほど楽しい?」
「少なくとも、僕は楽しいよ。歴史と夢とロマンがつまった化石を、自分の手で掘りだしてるわけだからね」
「ふーん」
魔法を一切使わず、手でちまちま岩を砕くことに、夢とロマンを感じるなんて、よくわかんない。
内心首をひねりながら、ルーラもキトリにならって手を動かす。
ここエインシェントでは、誰もが魔法属性にあった髪色で生まれてくる。
大地の属性を持つ者は黄色系統。
水の属性を持つ者は青色系統。
火の属性を持つ者は赤色系統。
風の属性を持つ者は緑色系統。
けれど、ごく稀にどの魔法属性も持たず白色の髪で生まれてくる者がいる。
彼らは“色なし”と呼ばれ、皆に冷遇される存在。
キトリの髪色はレモンイエロー、ルーラはインディゴブルー。
ふつうの子どもみたいに見えるけれど、彼らの本当の髪色は白色だ。
“色なし”を恥じた親に捨てられ、孤児院で暮らしている。
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