アタシのお城

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アタシのお城

アタシはこども部屋でお城を作っていた アタシだけのお城 ブロックを積み重ねてどんどん高く広くしてゆく でもなかなか上手く作れない お城にならない 困っていると、ママが近寄ってきた 『このブロックをここに置くといいんじゃない!』 そう言いながらアタシのお城にブロックを乗せた 上手くハマってお城らしくなった 気がつけば、二人でブロックを積み重ね続け、アタシのお城は完成した ちゃんとしたお城になった 私は今、もう一度お城を作っている 今度は誰の手も借りずに自分の思うがままに 最初は怖かったけど、今は楽しい 自分でも完成形が予想できない 時々、作り方に困って助けが欲しくなるときがある でも、最後まで一人で作りたいから伸ばしそうになる手を引っ込める どんなに時間がかかっても私は今度こそ本当のアタシのお城を完成させる 時々、ママの幻が現れて、お城に手を出してくる 『また一緒に作ろうよ』 と甘く囁いてくる 私は泣きながらママの幻を睨むことしか出来ない 「一人で作りたいから手を出さないで!」 そう言いたいのに声が出ない 本物の母は、少し遠くから私を見ている つい母と目を合わせてしまうと、ママの幻が現れるのでなるべく目を逸らしている いつになったら、母と真正面から向き合えるのだろう ママの幻に負けずに、アタシのお城を 完成させたい 私は母に手紙を書くことにした
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