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[日々雑感]
蝉腹のシャワーが山を覆う頃第一使途の足取り軽く
人形の母が相似の人形の顔に心に微笑んでいる
咳しても独りの夜に住み慣れた奈落の底がぱっくり開く
遠巻きに見る人影の外延に立ち上るあれは魂なのか
蚊も立たず蝉声聴かぬ炎天に瑠璃色蜻蛉ゆうるり踊る
謳うなら白鳥の真似をしましょうか醜い声で三十一文字と
ようやっと歩み始めたその先で老婆が転び小路を塞ぐ
独りなら会話をしようぼくたちは何人もいる同じ身体に
ヒト型の闇がヒタヒタ早朝の主客のいない店床を這う
一日にたった一キロ歩いても四十前には地球四半分
信じてもいないHAARPの陰謀に心惹かれるわたしが一人
媚を売る子供の顔の可愛さに思わず吐き気が込み上げてくる
長椅子を隔て医院で行き交った老婆二人の遣り取り痛く
心無き鳥と見る人心無き人と見る鳥何れに鏡
ねっとりと淀む空気の底泳ぐとりどりの靴疲労に惑い
白浜の磯の白砂見上ぐればセシウム色の虹がぴっかり
ループではないのだこれはサイクルだわたしに未来は来るのだろうか
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