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ベッドサイドに備え付けのラジオをONにして、チューニングを合わせる。流行のダンスミュージックが軽快に流れ出して、7がリズムを取り始めた。買ってきたスプレーホイップを手にニコニコ笑っている。
「踊りましょうよ、ヨシュア様」
「いや、いい」
プイッと顔を背けてしまったヨシュアを見た7が、またも破顔した。このお坊ちゃんは、映画館を知らなかった程である。ディスコにも当然、行ったことがなかった。
それでも高級な革靴はリズムを取っている。興味があるのは明白であった。早い話、あまのじゃくなのだ。
7はジョン・トラボルタばりのディスコダンスを披露しながら、ヨシュアの手を取った。
「誰も見てないですって。好きに身体を動かせば良いんです。一緒に踊ってくださいよ、ヨシュア様。お願い」
「――仕方ないな」
細身のスーツが立ち上がる。満更でもない顔をしたヨシュアが、踊り始めた。最初は見よう見まねだったが、直ぐに慣れて7に合わせだす。
言わずとも、楽しいとその顔が語っている。たらし込む笑顔ばかりが上手なヨシュア。だが彼は、7の翡翠色の瞳を見つめ、心から笑っていた。
チューンを上げてゆくディスコミュージック。
中々どうしてダンスの上手いヨシュアに、7がホイップを乗せたパイを投げつけた。
「あっ! やったな、7!」
スプレーホイップを取ったヨシュアが、7の顔面にお返ししてやる。二人は笑い転げながら、部屋の中をホイップまみれにした。
投げつけた枕から羽根が舞う。ホイップと合わさって、部屋中が真っ白になった。
その間も、二人はずっと笑っていた。
ヨシュアが、ベッドの上で飛び跳ねる7にパイを投げつける。
「俺を狙うのは100年早いすよ。これでも地下格闘技じゃ、有名な賞金稼ぎだったんですから」
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