【3PAGE NOVEL】参加作品

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「俺、これに出てみようと思うんだ」  俺の差し出したピザの大食い選手権のチラシを見て、マリは目を丸くした。 「これって、駅前のコンビニに貼ってあったアレ?」 「そう。『優勝者にはJOJO玄亭の10万円お食事券』。マリ、いつもこれ見てただろ? 俺、優勝してマリに焼肉をプレゼントするよ!」  見た目こそ平均よりやや細身だが、俺は米8合程度なら平気で食える大食いだ。  マリはいつも俺の横で「少しでいいの」とほんの少量しか食べない。細いマリがいつか倒れてしまうのでは……と俺が不安になるほど。  けれど、美味い肉なら食欲も出て、沢山食えるかもしれない。俺はマリと一緒に「美味しいね」と笑い合いたい。  そしてもし、優勝できたら、俺はその場でマリにプロポーズをしようと考えている。 「もし、優勝できたらさ」 「え? なぁに?」 「いや、ふふ。聞いて欲しい事があるんだ」  気持ちが先走りして、うっかり言ってしまった。内心焦った俺に、マリは察したように「私も」と微笑んだ。 ***  大会当日。マリの「パパも見たいって言うから、連れていくね」の一言で、俺はガチガチに緊張していた。  初対面(はつたいめん)がピザの大食い選手権で良いのだろうか。「パパ優しいよ」と言っていたけれど、はたしてパパは娘の彼氏にも優しいだろうか。優勝したらその場でプロポーズしようとしていたが、パパの目の前でやっていいものだろうか。  待ち合わせ場所で悶々と悩んでいると、笑顔のマリが1人で駆け寄ってきた。 「遅れてごめんね。パパ、来てるんだけどトイレに篭っちゃって……」  ……マジか。それは俺に対して「認めない」という意思表示ではないのか? やはり彼氏には厳しいパパではないのか?    「パパの所にいくね」とマリは離れていった。それから15分程たった頃、参加者集合のアナウンスが流れた。  俺を含む参加者達に数字入りゼッケンが配られ、各自順番にステージへと上がっていく。  周りを見回すと、大食い選手権に出るだけあってガタイの良い奴らが多い。その中で3番のゼッケンを受け取った俺は、かなり細くて目立つ存在だ。  ステージ上の席に着席した時、会場がざわついた。  最後の10番の姿が異様だったのだ。  フード付きマントを頭からかぶり、更に顔は赤いラメのプロレスマスクで隠されている。  身長はそれほど高くないが、マントの膨らみを見る限り、体格はいかつい。  有名なフードファイターなのだろうか。
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