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プロローグ
「やった、、、、やったぞ!今回も傑作だ!」
広いリビングに1人。俺は紙束を片手に喜びに震えていた。
紙束の1番上には少女のイラストと
𓊆恋は一直線𓊇
という文字。
早速携帯を開いて編集者に連絡する。
「もしもし、」ワンコールもしないうちに彼は電話に出た。
「出来たぞ!早く取りに来てくれ!」
「はぁ、まだ期限まで1日あるのでもう少し待っていてくれませんかね。」
「ダメだ!俺の名作を早く持って行って編集して世に送り出せ!」
「あなたね、、、毎度毎度言っていますけどあなたの描いているのは月間少女漫画なんですから俺が早く取りに行ったって、どんなにすばやく確認したって世に出るタイミングは他の漫画と変わらないんですよ。」
「ううぅ〜!そんなの分かってるけど早く取りに来てくれんと俺の気がすまん!!」
「あんたって人は、、、分かりましたよ。では今日の2時頃取りに行きます。」
「本当か!ありがとう!お前本当にお人好しだな!ワハハハハ!」
「取りに行くのやめようかな、」
「あっ!まって!切らないで!謝るから!」
プツッと言う音がして電話が切れた。
あんなこと言っていてもなんだかんだ取りに来てくれるのだから彼は本当にお人好しだと思う。
「ふぅ、昼まで暇だな〜」
そう思い手に取っていた紙の束を机の上に置き、椅子を後ろに前にギーギー行ったり来たりしながらスマホをいじる。
見るのは自分サイト。
感想箱を開くと万に届くほどの感想が送られてきていた。
(uаさんの作品は本当に面白いです!)
(キュンキュンするシーンが本当にあるあるで高校生の頃を思い出しました!)
(少女漫画大賞おめでとうございます!本当にだいすきな作品です!)
ニヤニヤ
緩む頬を隠さず画面を見る。
ここまでの話でわかったとおり俺は少女漫画作家だ。自分で言うのもなんだが、、、、、、、、、、、天才だと思う。
内容も面白く、絵も上手い。そして俺が最も支持を集めているのは少年に恋する乙女の複雑で純粋な気持ち。俺の漫画は女の子が胸きゅんを感じるシーンで女性支持を獲得し、主人公の女の子の言動が可愛いと男性支持も獲得している。
初めての漫画で単行本も500万部を突破しているし、去年の少女漫画大賞にも選ばれた。これを天才と呼ばずしてなんというのだろう。
ただ俺は漫画を描き出すと途中で辞めるということが出来ず、頭に浮かんだ内容を全て描き切るまで寝ず食わずで漫画を書いているのだ。
そのため編集者にも度々怒られている。
今回は遊園地編完結ということで今までで1番長い4日間描き続けるという自体になってしまった。
また怒られてしまうので編集者が来るまで寝なくてはと言う思いとは裏腹に目の前の画面をスクロールする手は止まることを知らない。細かな内容が書かれた感想が1番嬉しい。すると1つの文章に手が止まる。
(お前の作品は絵柄は良いが内容は全く面白くない。ありきたりな内容が多く、何よりみんながキュンキュンするというシーンもよくあるものが多くてひねりが足りない。)
、、、、、はぁ?!
なんだよこいつ!!!何様なんだよ!!!
何度も何度もその文を読み返すがイライラは増すばかりだ。
「ああああ〜!せっかくいい気分だったのに最悪だァァァァ!!!」
イライラしすぎていた俺は怒りに任せ手を上に振り上げた。
その時だった。
椅子が不安定な状態だったため手を離すことにより俺の体の重みで体と椅子が後ろに倒れる。
まずい
そう思う時にはもう遅かった。
ガンッという鈍い音ともに俺は意識を失った。
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