門番

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無事に木製の鍵なし扉の在庫が無くなるほど壊されることはなく、いつも通り門番をした。 そして気づかないうちに3週間が経ってしまった。 彼が戻ってくる 少しじめっとした廊下で自分がここにいる意味が分からなくなっていた頃、久しぶりにあの歌が聞こえてきた。 「久しぶり〜に〜打ち破る〜オラにとっちゃ〜あの扉〜まな板もしくはプ・ラ・板!〜今日のお供は〜研ぎまくった〜お〜の!生徒会が〜待っている〜」 か、歌詞が少し変わっている。それに今回の武器は斧らしい、しかもとぎまくったやつ。 チェーンソーで突進された時本能が避けろと言っていたため、自分には当たることなく扉にぶっ刺さった。 今回も避けることができるかは分からない。 だから自分が斧で突進されてそれを避けるというイメトレを銀マリモが自分の元に到着するギリギリまでしていた。 ついに来てしまった、想像の1.5倍の肩幅銀マリモが。 「お前この間もいたな!」 「はい」 「あの時はごめんな、危ないものを人に向けちゃダメってこの3週間でわかったんだ!だから、ここに来るまでちゃんと斧にカバー付けてきたんだぜ!偉いだろ!」 「えっと…そもそも武器を持ってこないことは出来ない感じですかね」 「そんなんじゃ生徒会室に入れないぞ!何を言ってるんだ!?」 平和な方法で入ろうという発想がないって…何を言ってるんだ!? あと2週間の門番期間を何事もなく終える気満々だったのに。今思えばあの3週間は凄く幸せだった。 銀マリモが来なくなったおかげで会計が逃げることがなく、他のメンバーも帰宅時間までは基本的に出てこないため堂々とネット小説を読んでいてもバレない。 この平穏な日常を守るためにこの日から銀マリモと自分の戦いが始まった。 とある日には血痕付けて脅かしたり 蛇とゴキブリとネズミを放し飼いにしたり 遠くから繋げてきたホースで水地獄にしたり 何体ものドローンで追い回したり それはそれは地味に嫌なことを2週間、ネタを被らせる事なくやり遂げることに成功。 最初の数日で諦めてくれると思ったが案外粘り強かった。だいたい全部の嫌がらせで逃げて行ったけど。 無事に門番期間が終わって放課後に生徒会室に寄らずに自分の家に直行できた時、こんなにも何も無いって幸せなんだと感動した。 その1週間後にまた門番をして欲しいとお願いされるなんてまさか、ねぇ?
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