光らない僕

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光らない僕

君の瞳を見つめていたら、その繊細な虹彩の中に小さな星が輝いていることに気づいた。驚きに無遠慮にも君の顎を掴んで覗き込む。わずかに赤いその星の瞬きに目を奪われること数十秒。君の「痛いよ」という声に、現実に引き戻される。 僕は急に自分が君にどう見えているのか気になりはじめた。これまで己の容姿など、気にしたことはなかったというのに。君が特別になった瞬間だった。小さな星を秘めたその瞳は、凡庸な僕を不思議そうに見つめていた。
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