5.父の押せ押せな攻勢?

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「いつ行くのがいいだろうか?」 「私はいつでも……。貴仁さんには無理を聞いてもらっているので……」 あまりにも夢みたいでと思うと、少しでも自分本位の振る舞いを通したりしたら、この夢からふいに覚めてしまいそうで、何も言えなくなる。 「どうした黙ったりして。別に無理なんてことはないのだから、君はもっと思うままを私に言ってくれていい」 「思うままを……」……どうして私がそんな風にも感じていたことを、彼はわかってしまうんだろうと──。 「それに、式の主役は君なのだから、何も気に病むことなどない」 テーブルに置いていた私の手に、彼の手がそっと重ねられると、胸につかえていた不安がすーっと下りていくようにも思えた。
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