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私は借金チャラになってめでたし、でも、玲はどうなる? 結局自分を大事にしてくれなかった親に無理やり結婚させられるのだろうか。
彼の気持ちはどうするんだ。親に初めて反抗したいと思った、玲の心の行方は。
「バカ、早く電話してよ……」
聞きたいことがたくさんある。言いたいことがたくさんある。だから、別に怒りもしないから早く帰ってきてほしい。
大事な時になぜそばにいないんだ、あの男は。
泣きそうになりながらスマホを握りしめていると、私の背後から優しい声が聞こえてきた。
「舞香さん?」
はっと振り返る。仕事帰りと思われる圭吾さんが立っていたのだ。驚いたような顔をして私を見ている。
「あ、圭吾さん……」
「体調でも悪いんですか? 顔が真っ白ですけど」
慌てたように私に駆け寄る。なんとなく自分の頬に触れてみると、ひんやり冷えていた。圭吾さんが心配そうに顔を覗きこんでくる。
「酷い顔色です」
「……圭吾さん、玲に連絡しても既読にならないんです。すぐに連絡取れないでしょうか」
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