僕と彼女、私と彼の、クリスマスイブの一夜

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 話していると、裏切られたと知った時の苦い気持ちとともに、そうなるまで気づかなかった私自身への自嘲の思いが、ふつふつと湧いてくる。さっきまで話をしていた男性もきっと、今の私と同じ気持ちでいただろう。 「しかもその、相手の子は私の友達で。高校からの付き合いで、私は親友だって思ってましたけど、向こうにとっては違ったみたいですね」 「それは……辛いですね」 「ええ、辛かったです」  ふふ、と洩れる笑いが苦くてしかたない。 「最初は浮気だったのに、途中からは私が浮気相手の扱いでしたし。怒りたかったけど、怒れなかったですね。そんな気力も出なくて。だって、相手の子と二人で来て、しゃあしゃあと言うんですもの。俺と明乃は愛し合ってる、その証拠に愛の結晶もできたから結婚する、だなんて。どの口で私にそんなことが」 「え、ちょっと」  唐突に、男性が私の話をさえぎった。 「今、なんて言いました」 「だから、どの口でそんなことが言えるのかと」 「そうじゃなくて、……その、あなたの彼の、相手の名前」 「え? 明乃、ですけど」 「もしかして永井明乃?」
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