3章

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「ふふっ、どこから来たの?不審者さん♪」 「寮、から」 「「「うそだぁ」」」 「ほんとです」 「「「「………」」」」 信じてもらえるわけないよね。 僕制服今来てないしパーカー被ってるし黒い服だし。逆に侵入者とかじゃなかったらなんなんだって感じだもんね。 「名前を教えていただいても?」 「結城遥です」 「「「「……?」」」」 悲しい。誰も僕のことわかんないみたい。 そりゃそうだ、不登校だもの。 ……… 僕、沈黙苦手なんだけど。 目の前で多分脳をフル回転させて僕のような生徒がいたか探してるんだろうけど、そうなるともちろん沈黙になってしまう。 それが嫌だ。 僕の脳はなんも考えてないから沈黙が気になってしかたがない。 ガチャッ 「こんにちわっすぅー!あれ?先輩がたどうしたんすか?」 「みーちゃんいらっしゃい」 「みーちゃんっていうなっす」 「かわいいからいいじゃないの。じゃあ、みはるちゃん!」 「もっと嫌っす…」 急に入ってきたのはやんちゃそうな多分1年生だった。 髪色はピンク、八重歯が完全に牙みないになってて少しかわいい。 「こいつ誰っすか?侵入者?不審者?」 「結城遥って言うらしいんだが誰だか知ってるか?」 そして考え込むみはるちゃん。 関わったことないけど今わかるのは彼がみはるちゃんである可能性が高いこと。 口に出して言っている訳では無いのでセーフ。 「S組の不登校、アレンジ通り越したオリジナル曲の伴奏、結城遥。」 「多分それ僕ですね」 「「「あぁ!」」」 嘘でしょ、そんなんで僕のこと分かるってちょっと…なんというか…うーん……… 正直『S組の不登校』だけでもわかると思うんだよね、S組不登校ほぼいないし。 「そういえば学園を見学する人がいると言っていました。すっかり忘れてましたね。」 「「「あぁ!」」」 まぁ、何人もいるこの学園のうちの1人が学園見学するなんて忘れて当然だよね。 「ごめんなさいね、すっかり忘れてたわ。もう帰っていいわよ」 「………」 そういえば僕帰れないんだった。風紀室から寮に帰るなんてできるわけが無い。 だって校舎から寮に帰れないし、校舎自体抜けれるかわからない。 「ごめんなさい、帰れないです。」 「「「「?」」」」 「えっと………迷子、だったので……」 沈黙。 え、泣く。
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